講式関係の文献資料を収集し、それを国語学的に分析することを目的として、計6度にわたり京都の古社寺(高山寺、仁和寺)等への原本の実地調査を行った(7・8・10・12月)。原本を直接に調査し、その釈文をその場で直ちにコンピューターへ入力することによって、その後の分析を容易にする方法を採用した。さらに、研究の基礎固めとして、講式関連の書籍・論文を仏教学関係を中心に可能な限り収集した。 その結果、平安・鎌倉時代の口頭語の実相について、新たな知見を得、さらに、「語りもの」の源流としての講式を、国語学の観点からもう一度厳密に捉えなおすことが可能となった。 その成果の一つとして、明恵による講式の一つであり、四座講式の源流ともなった+无盡院舎利講式の影印、翻刻、解説を『明恵上人資料 第四』(高山寺資料叢書第十八冊・東京大学出版会)中に公開することが出来た。
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