奨励研究(A)において、脱会社主義ロシアにおけるジェンダー研究-旧ソ連諸国との比較を通して-という課題に沿って研究をすすめている。これまでの研究では、ロシアにおけるジェンダーの現状については、分析を行ない、記述することに成功しているが、それがロシア固有のものであるかは明らかではない。これには、同じ期間、同じ体制内で生活していた旧ソ連の他の民族との比較をすることが不可欠である。従って、本研究では、旧ソ連の諸国の脱会社主義におけるジェンダーの在り方と支援的なファクタとの関係を明らかにし、ロシアにおけるそれと比較することにより、脱社会主義ロシアにおけるジェンダーの特徴を明らかにする。平成10年度は、以下のことを行った。 1. 脱社会主義ロシアにおけるジェンダーの現状については、私の独自の調査結果、現地の新聞、雑誌、研究論文、統計資料などから明らかにしたが、本年度は、それとロシア固有の文化的ファクターとの関連の分析を行なった。しかし、文化的ファクターとの関連性については、科学的に説明できる性質のものでなく、仮定と考えている。 2. 旧ソ連の中のキリスト教圏であり、ヨーロッパの影響を強く受けているバルト地域のエストニア、ラトビア、ソトアニアの全体的なジェンダーに関する資料を、雑誌、研究論文、統計資料、そしてインターネットから収集した。また、独自の宗教と文化を在しているコーカサス地域のアルメニアグルジア、アゼルバイジャンの中からグルジアを選び、データ資料として文献をはじめインターネット、また日本に在住しているグルジア人へのインタビューを収集した。現在それらを分析、考察中である。しかし、ロシアとちがい、旧ソ連のデータを日本で入手することは非常に困難でありデータは少ない。
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