研究概要 |
現在、小笠原諸島の父島に住む「欧米系島民」の言語状況を調べている。それは、(1)かつての欧米系島民の言語生活状況の実態を解明することと、(2)現在の欧米系島民の間で使われることばの言語構造と言語使用の実態を把握すること、の2点を目的としている。 研究活動、およびそれに関する研究発表活動は以下の通りである。(1)1998年5月23日に、東京の日本工業倶楽部で開かれた国語問題協議会で「日本語の国際化一小笠原諸島欧米系島民の言語生活の歴史と実態一」という招待講演を行った。(2)6月26日に、小笠原返還30周年に合わせて、『特集:小笠原諸島の言語文化』を編集して、『日本語研究センター報告』6号として出版した。(3)北海道国際交流センターの招待を受けて、7月30日に、「Navigating the Perils of Language Contact:Surviving(in)theJapanese Language」という講演の中で小笠原の研究を紹介した。(4)9月5〜10日、父島へ渡り、録音による現地調査を実施した。(5)9月17日に、ハワイのオースロネシア諸言語研究会で小笠原における日本語と多言語との間に起きた言語接触に関する研究発表(“Contact between Japanese,European,andPacific Islands languages in the Ogasawara Islands")を行った。 (6)9月発行の『日本語学』17号11巻の「複雑化社会のコミュニケーション」という臨時増刊号に、ロングが執筆した「日本における言語接触とバイリンガリズム-アイデンティティと言語使用-」の中に、「欧米系の日本人」という節で小笠原の言語状況を取り上げた。(7)10月7日にジョージア州で開かれた第27回言語変異分析学会(NWAVE)で“Evidence of Two Contact Languages in the Bonin(Ogasawara)Islands"という研究発表を行った。 (8)10月24日に、甲南大学公開講座の一環として「日本と諸外国との文化交流一小笠原諸島の場合一」という講演を行った。(9)1999年1月7日、ロサンジェルスで開かれたアメリカ方言学会全国大会(ADS)で「An Endangered Indigenous Language on a Pacific Island:English」という口頭発表を行った。(10)2月6日に、再び島へ渡り15まで現地調査を行った。
|