研究概要 |
平成10年度は、主に、ドイツ介護保険に関する法的問題について、日本の介護保険と比較する見地から検討を行った。また、ドイツ各地の市福祉事務所に赴き、介護保険をはじめ社会福祉行政について、行政組織改革、ケース検討、運用状況を中心にヒアリングを行った。 平成11年度は、前年度の研究より得られた知見をもとに、日本の介護保険を含む社会福祉行政について、昨今の基礎構造改革を中心に検討した。必要に応じて地方自治体の社会福祉担当職員に対して、改革の進展状況と運用実態についてヒアリングを行った。 以上の研究より、ドイツのように「介護保障法」という観点から、生存権の介護保障側面の理論体系化をはかるべきであること、従って介護保険法の射程には限界があり、生活保護法や社会福祉各法に基づく給付によって補完されるのであって、両者は一体として介護保障法を構成すること、さらに社会福祉基礎構造改革は、従来国家が負っていた給付義務を費用助成義務に代えるという公的責任の内容の根本的な改変であることなどが明らかとなった。これら得られた知見,考察結果は、11.に掲記した業績にまとめた。
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