今年度の課題は、「ごみ問題」を対象として日本の実態調査及びその分析を行うことであった。第1に、地方自治体の実態調査として、東京都、堺市及び吹田市のごみ問題の取り組みについて、現地でごみの収集体制や課題を調査した。この調査により、「容器包装リサイクル法」の施行により各自治体は収集体制の変更を余儀なくされており、また収集経費の増加を押さえるために、市民や販売業者の協力に基づく新たな収集体制が考えられていることが明らかになった。また、ダイオキシン問題に関して、大阪府廃棄物広域処懇話会に参加する機会を得、今後は複数の自治体にまたがる新たな処理体制が必要であることが明らかになった。第2に、市民に対しては、「ごみ処理とリサイクル型社会」というテーマで講演を行った(1999年2月26日大阪府吹田市)。この講演を通じ、市民によるリサイクル運動はすでに世界的に先進的なレベルに達していること、一方、古紙の暴落やダイオキシン問題などでリサイクル運動が一つの壁に突き当たっており、リサイクル運動をさらに進めるためには、企業による取組みなど社会的な受け皿を構築する必要があることが明らかとなった。第3に、「規則的手法」に替わる新たな手法として、環境アセスメントに注目し、これに関する研究をすすめている。1997年に制定された環境影響評価法は、従来の「規制的手法」を維持しつつ、その上環境アセスメントをのせようとするものである。この研究を通じ、「規制的手法」の限界はどこにあるのか、あるいは、「規制的手法」と新たな手法を結合する際いかなる問題が生じるのかが明らかになりつつある。 今年度の研究の成果の一部は、後掲の2論文で公表したが、なお、基本的研究に止まっており、来年度に行う外国法との比較を行った上で、本研究の成果を公表する予定である。
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