1 研究期間の1年目に当たる本年度は、主として資料の収集と専門家からの意見の徴収、およびそれらの整理を行った。また、関連の研究会(例:「独禁法研究会」財団法人比較法研究センター主催)や国際的なシンポジウム(例:SOFTIC Symposium'98財団法人ソフトウェア情報センター主催)にも積極的に参加し、問題解決のアプローチに関して有意義な情報を得た。 2 本年度の研究の具体的成果としては、1)著作権法において重要な概念である「表現とアイデア」の区別に関し、米国のマージ理論を取り上げた上で、表現とアイデアの区別には侵害の態様や行為の広がり、投資回収と競争の活発化などを考慮すべきことを指摘した、(「量産される工業用品の設計図の著作物生」知財管理48巻9号1487頁)、2)「ヤクルト事件」(公取委勧告審決昭和40年9月13日)を素材に、知的財産のライセンスに盛り込まれる価格制限条項の法的評価を知的財産法と競争法の観点から整理・検討した(「特許・商標ラインセンサーが行う価格制限について」出上和則先生還暦記念『判例ライセンス法』(発明協会・1999年予定))。 3 来年度の計面としては、1)米国およびEUにおけるソフトウェアに関する判例の整理・検討、2)99年2月22日公取委が公表した「特許・ノウハウライセンス契約に関する独古禁止法上の指針(原案)」の検討、3)ソフトウェアライセンスの類型化と法的問題点の整理、を予定している。
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