平成10年度においては、11年度における調査、データの比較分析の準備作業として、既存の政党連合、連立:の理論的・実証的研究のレビュー、及びその日本の政党・政党制の実証分析へのインパクトの要約を行った(政党・政党制を扱った共著書の内の二章として有斐閣から出版される予定)。また、1993年以来の政党の合従連衡及び議員個人の動きのデータの収集も進み、これは、従来から進めていた、自民党と社民党の党内政治分析に組み込まれた(American Political Science Reviewに掲載)。ヨーロッパ政治学会の研究者と協力しつつ進めている、政党の政策位置調査は、今後も、日本の衆議院議員選挙ごとに行うことについて合意ができた。これにより、西ヨーロッパ諸国との比較可能なデータの蓄積が可能となる。また、政党政策位置調査と合わせ、戦後長く、先進民主主義国の主要な政策イデオロギー対立を定義してきた、大きな政府・小さな政府の対立が、各国の公共セクターの拡大及び社会保障支出の増大により、変質してきているという視点に立ち、イギリス、スウェーデン、フランスの福祉国家と租税制度の比較の研究を進めた(東京大学社会科学研究所紀要に中間報告)。
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