1 ポスト冷戦世界の小火器・軽兵器の拡散の現状について (1) 地域紛争において最も頻繁に利用されている兵器は小火器・軽兵器であり、なかでもアフリカの紛争においては極めて旧式の兵器までが多用されている。 (2) こうした兵器の多くが中古品であるとともに、他の地域において用いられたものが紛争地域に流入している。構造が簡単であるが故に、操作が容易で耐久性に優れているため、教練を受けた正規軍の兵士でなくても実戦に使用可能である。また廉価で輸送が比較的に容易であるため大量に流入する傾向がある。 2 ポスト冷戦世界の地域紛争の特徴について (1) 冷戦時代の地域紛争の多くが米ソ代理戦争の様相を呈していたのとは対照的に、ポスト冷戦型の地域紛争は(冷戦時代から継続中のものもあるが)、地域に固有の理由によって勃発あるいは継続しており、大国間の協調行動によっても鎮静化することが困難である。 (2) これらの紛争の多くが正規軍のみならず、準軍事組織(パラミリタリー)が深く関与しており、1-(2)に記載した小火器・軽兵器の移転先にもなっている。こうした組織の活動実態は断片的にしか知られておらず、全容の把握は困難である。だが、兵器移転については供与者(ドナー)から部分的に情報を入手できる。 (3) ソマリアのように国家が崩壊した事例がいくつか見られる。これらの事例は、共産党一党独裁や右派軍事政権からの民主化などの政治システムの変化、また債務危機による経済破綻、計画経済からの自由化、援助の削減・停止といった経済システムの変化に、それぞれ国家が対応できなかった国々にみられる。こうした国家の失敗は武装集団の活動を容易にしており、また国境管理の緩みは小火器・軽兵器の流入をますます容易にしている。
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