都市化プロセスのコントロールに焦点を当てて日蘭比較を行っているが、本年度で特に研究を進めたのは、オランダにおける広域空間政策と環境アセスメント制度とである。前者に関しては、(1)都市化政策はその残余としての制限政策(空地・緑地の保存)と、車の両輪として進められている、(2)制限政策は州であるが、都市化政策は自治体として、峻別されている、(3)ニュータウン政策や緩衝地帯政策は、この峻別を維持するように進められている、(4)そのため、いわゆる広域問題の発生は、国によって政策的に抑制されてきた(日本は広域問題の発生を放任してきた)、(5)しかし、近年では大都市圏での都市化が必要となり、その意味では、日本に遅れること70年にして、広域圏での都市化が争点となった(オランダは時間を稼いだ)、(6)そのため、大都市圏に広域公共団体を整備することで、都市化政策が進められた(制限政策は依然として州)、ことなどが明らかになった。後者に関しては、(1)オランダは国際比較的にも、かなり整備された環境アセスメント制度を有して、運用している、(2)都市化プロジェクトは環境アセスメントの対象となり、それなりに貢献している、(3)戦略的環境アセスメントにも力を入れているが、戦略的空間計画に対するアセスメントはほとんど機能していない、ことなどが明らかになった。
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