| 研究概要 |
平成11年度の目標は,情報の非完備性のもとでの戦略的行動という視点から,金融市場,特に情報開示と信用不安,の問題を理論的に考察した基礎研究に基づき,理論的研究をさらに発展させ,かつコンピューター・シミュレーションおよび実験による解析を通じて,実際の市場機構の分析に発展させるというものであった.
このうち理論的な方面では以下の成果が得られた.前年度に,標準的なゲーム理論で前提とされているベイズ的意思に決定行動での問題点に関する研究をおこなったが、今年度では、それが実際に戦略的環境においていかなる影響を及ぼすかについてさらに研究をおこない,結果として得られた論文を内外の研究会等で発表し,レビューを受けた.
コンピューターを用いた分析に関しては,今年度は優秀な研究補助をする人材の確保ができたため,実験の方面で大きな前進があった.具体的には,インターネットを通じて入札実験をするシステムを開発し,いくつかの基礎的な実験結果を得た.システムは操作が簡単で,インターネットに接続可能な環境ならばどこでもできる.このシステムは,入札の研究にとどまらず,学校教育で市場経済の構造を学習させるのに有効である.現時点では,操作性と汎用性の点に若干の問題が残っているが,今後これを解決し,研究教育の現場への普及につとめたい.
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