計画経済のソ連と、市場経済化過程のロシアとでは、経済体制の違いを反映して、そこで作成される労働統計も、その作成目的・方法・概念などが異なっている。 2つの異なった体制・方法・概念にまたがった統計データを利用し、分析を行うためには、こうした相違を明確にしておく必要がある。また、体制転換後のロシアの労働統計も、確立された安定的な方法が一貫して使用されているという訳ではなく、ここ数年間でも、作成方法や統計的概念に変更や追加が加えられている。 今年度は、ソ連時代と新生ロシアにおける統計作成方法に関わる変更点、及びロシア労働統計の作成方法の調査を主要な課題と位置づけた。この作業のために、統計資料・文献の検討に加えて、ロシア統計国家委員会労働統計部を訪問し、ロシア労働統計の課題と問題点にかんする検討結果、および新生ロシア労働市場に関する分析結果についてレヴューをうけた。 以上の研究成果の一部を、第33回比較経済体制学会(於:北陸大学、1998年6月5日)および北海道大学スラブ研究センター冬期シンポジウム(1999年1月28日)において報告すると同時に、それぞれ、学会報掲載論文およびワーキング・ペーパーとしてまとめた。さらに現在、体制転換後のロシア労働統計とこれを利用した就業構造分析に関する論文を執筆中である(共著書の一部として出版予定)。
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