本研究の目的は、都市圏を都市空間経済システムとしてモデル化し、「都市の空間構造はそのシステムの自己組織化の結果形成される」との考え方に基づいて分析を行うことである。具体的には、企業、家計などの主体を都市空間上のどの位置に立地するかを一般均衡理論を用いて分析する。本年度は、一般均衡モデルの構築を行い、情報の流れが都市構造に与える変化について分析を行った。その結果、システムの自己組織化の結果企業の分離立地、同一部門の他企業間の集積現象が確認できるなどの成果があった。 さらに、通信技術の発達、企業内・外とのコミュニケーション形態の変化に伴う企業と家計の立地動向の変化を分析し、その結果としての都市の空間構造の変化を捉えることが目的であるが、その基礎調査として住居選択モデルの分析を行い、家計の効用について外的要因や東京大都市圏の詳細な空間構成の特徴がとらえられた。 また、実際の都市内の企業と家計の立地動向を明らかにすることにより、交通渋滞、環境、住宅問題などの都市問題を解決するための政策について考察した。
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