• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1998 年度 実績報告書

知的財産制度が日本のシステム間競争と技術革新に与える影響の研究

研究課題

研究課題/領域番号 10730020
研究機関信州大学

研究代表者

岡田 羊祐  信州大学, 経済学部, 助教授 (30224033)

キーワード特許 / 知的財産制度 / 技術革新 / 研究開発 / 競争政策 / バイオテクノロジー / 医薬品 / 情報通信
研究概要

本研究では、技術の複合的連関の深化、および技術のシステム化が、特許制度や競争政策などとどのような関連をもっているかを検討してきた。特に、漸進的・改良的な性格が強いといわれる日本企業の技術革新の特徴を、制度的分析を基礎としつつ、個別産業の実証分析を通じて明らかにすることを目指した。その際、研究開発に内在する累積的性質の評価と、企業間の技術取引の苗床となる技術の受容能力にも留意した。現在、制度的分析には一応の目処がつき、最近の知的財産制度改正の動きに照らして、技術革新インセンティブに与える影響及び競争政策との相互調整という観点から、具体的な政策提言を行った。技術革新では、その累積的性質や技術情報の複合的連関などの技術特性、需要の成長性、技術機会などの産業特性に応じて、研究開発インセンティブに違いが生じる。したがって、行為類型の形式的同等性にのみ注目していては、動学的な効率性に与える影響を合理的に評価することはできないのである。
個別産業の実証分析では、情報通信産業における規制緩和の動きと、技術の複合的連関が、携帯電話や固定電話のネットワークに与える影響を分析した。具体的には、ネットワーク効果を考慮した需要システムの推計を行い、国際学会において発表したところである。しかし、特許制度により密接に関わる産業の分析は来年度の課題として持ち越しているところである。バイオテクノロジーや新規に上市される医薬品に関わる特許は、参入障壁としてきわめて重要な役割を果たしてきたことが繰り返し指摘されてきた。したがって、近年の特許ルールの変化は、バイオ・医薬品産業における研究開発のあり方にも大きな影響を及ぼしつつあるように思われる。現在、バイオ・医薬品産業に焦点を絞って、特許データの収集、加工を行っているところであるが、これまでは書誌情報からの収集が中心であった。本年以降は、諸種の電子媒体データベースへのアクセスを中心に、より包括的なデータ収集へと結びつけていこうと考えている。そして、特許の保護強化の動きが、これら産業の研究開発パフォーマンスにどのような影響を与えてきたのか明らかにしたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 岡田 羊祐: "特許制度の法と経済学" フィナンシャル・レビュー. 46. 110-137 (1998)

  • [文献書誌] 岡田 羊祐: "独禁法におけるライセンス規制と知的財産権" 知的財産研究所報告書. 予定. 1-12 (1999)

  • [文献書誌] Yosuke Okada: "Interdependent Telecommunications Demand" NBER-CEPR-TCER Trio Conference. 1-34 (1999)

  • [文献書誌] 岡田 羊祐: "「技術開発と競争政策」, 後藤・鈴村編『日本の競争政策』12章" 東京大学出版会, 54ページ(第12章) (1999)

URL: 

公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi