研究2年度である本年度は、昨年度の研究を継続し(1)文献資料調査、(2)環境保全型エネルギーシステムにむけての費用負担制度のあり方を研究すると同時に、本年度は新たに(3)アジアのエネルギー消費動向とエネルギー政策、それが環境に及ぼす影響についての基礎的研究を行った。 (1)については、エネルギーシステムのうち、とりわけ電力システムに関連した国内外の諸制度に焦点をあてた。 (2)については、エネルギー消費起因の環境問題に関連する費用負担の制度を分析した結果、従来の税や課徴金や補助金システムとは性格を異にする独自のメカニズムが用いられるのが一般的であることが明らかになってきた。これは、環境保全のための費用を調達するための一種の基金で、<環境基金>システムと位置づけることができる。研究の重要な成果として、環境基金の費用負担原則には、従来からある応能原則、応益原則、応因原則とは異なる応責原則としてとらえるべき原則があることが明らかとなった。 (3)については、アジア地域における基礎的統計を収集し、エネルギー消費の特性を分析すると同時に、エネルギー政策の中でも力点が置かれている電力政策に焦点をあてた。電力供給システムにおいて環境への影響の点から注目できるのは石炭火力及び原子力で、その両者ともに、エネルギー消費大国、特に東アジアにおいて開発が急速に進みつつある。
|