本研究は2年間にわたって行ったが、大まかに次の2点が見いだされた。 まず、1973年以降行われているJNNデータバンクの消費に関する40項目について、時系列分析を行ったところ、30項目程度は、長期的なトレンドが観察され、急激な変化はみられない。一方、1981年と1982年の間に、「無駄遣いする方」「値段が安ければメーカーにこだわらず買う方」「そのときどきの気分で買う方」「あまり人が使っていない銘柄のものでも気にせずに買う方」ヘの回答率が5%程度上昇している(調査方法、ワーディングなどの変更はない)。「国民生活に関する世論調査」についても、82/83年の間に「余暇の重視度」が上昇し、さらに「家計調査年報」においても同様に82年以降の旅行費用が急伸長していることなどが見いだされた。これらより、80年代前半に、消費について急激な変化があったことが見いだされた。 2点目としては、消費者による商品の開発に典型的にみられる、能動的な消費者の行動の顕在化である。このような消費者を「アクティブ・コンシューマー」と名付け、その行動の特徴を検討し、新しいマーケティングの方法を考察した。
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