前年度の研究により、G.FaltingsのAlmost etale理論は大域的な比較定理のみならず、今までは別の手法(Bloch-加藤の計算)で研究されていた局所的な比較理論にも有効であることが明らかになっていた。前年度はQ_p係数、絶対的な場合の局所的な比較定理を得ており、今年度7月ドイツ・オーベルヴォルファッハでの代数的整数論の研究集会でこの研究成果を発表した。今年度はこの研究を更に深めることにより、相対的な場合、p-torsion係数の場合にも同種の結果を証明することに成功した。これはBloch-加藤の計算を用いて今まで得られていた結果よりも、定数層以外も扱えるとい点において遥かに優れている。またこの最初の応用としてG.Faltingsの大域的な比較定理の別証明を得る。(Almost etale 理論を使う点は同じ。)今年度はp進Hodge理論のexplicit reciprocity law及びL関数の特殊値への応用についても研究した。より具体的には、Lubin-Tate形式群に関する加藤のexplicit reciprocity lawを、Lubin-Tate形式群のlocal moduli上での微分を考えることにより一般化し、より完全な形にすることに成功した。その系としてL関数の特殊値とdual exponential mapに関するHanの結果の別証明が得られる。またこれは乗法群に関するPerrin-Riouの局所岩沢理論の高さ2以上のLubin-Tate形式群における類似(まだ存在していない)を考える上で重要な一歩と思われる。
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