研究概要 |
当初の計画に従ってトロイダル代数および量子トロイダル代数(以下QTAと略記する)の表現の具体例の構成およびその構造の研究を行った。 (1) トロイダル代数について アファインリー代数の研究の初期においてソリトン方程式との関係が重要な役割を果たした。そこでこの関係を逆に考え、トロイダルリー代数の表現を用いてアファインの時の類似を考えることによりソリトン方程式の拡張を試みた。その結果知られているソリトン方程式の階層を部分階層として含む新しい広田型双線形方程式の階層を得た。ただしこの方程式の可積分性、物理学への応用などは不明であり今後の研究課題といえる。上記の成果に関しては以下の研究集会において発表を行った。 ● Verallgemeinerte Kac-Moody-Algebren,(7/19-7/25,1998) Mathematisches Forschungsinsitut Oberwolbach,Germany ● Workshop on Gauge theoty and Integrable systems,(1/26-1/29,1999) 京都大学基礎物理学研究所 (2) 量子トロイダル代数について QTAの表現を頂点作用素を用いて構成し(頂点表現)さらにその指標を調べた。今までに知られていたQTAの表現の例はあったが、指標が計算された例は頂点表現が初めてである。 また柏原-三輪-Sternによるq変形Fock空間上にQTAの作用が入ることを証明した。さらにこの表現の指標を計算し、ある意味で頂点表現の指標と一致することを確かめた。またこの表現のパラメータを制限することにより、レベル1の量子アファイン代数の既約表現の空間にQTAが作用することを示した。
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