研究概要 |
本年度は以下の2点について研究を行った. 1. 3次元ハンドル体の写像類群の表示 3次元ハンドル体内に固有に埋め込まれた本質的で非分離な2次元円盤のことをメリディアン円盤と呼ぶ.メリディアン円盤のイソトピー類を頂点とし,互いに交わらずホモトピックでないメリディアン円盤の族を単体とすることによって構成される単体的複体は可縮なものであり,ハンドル体の写像類群はその複体の上に単体的に作用していることが知られている.さらに,その部分複体で,非分離的なメリディアン円盤の族のみを単的とするものは種数が3以上の場合は単連結であることが示された.これらの複体の上へのハンドル体の写像類群の作用を調べ,また,曲面上の組み紐群の表示や組み紐群への写像類群の作用を詳細に調べることによって,3次元ハンドル体の写像類群の表示が得られた. 2. 向き付け可能な閉曲面をfillする2曲線の分類 閉曲面上の2本のの単純閉曲線で,それらの補空間のすべての連結成分が2次元円盤となっているものをfillする2曲線という.閉曲面をfillする2曲線に沿ったDehn twistの合成としてあらわされる写像はほとんど全てが擬アノソフ同相写像であることが知られており,閉曲面上の写像の分類を行う上で,fillする2曲線の分類は重要な問題である.本年度は,修士課程の学生の富沢堅一氏とともに,filling dataという概念を導入しfillする2曲線の分類を試み,6交点以下の場合の分類を行い,さらに,両方の曲線が分離的である場合にfilling dataが特別な形をしていることを用いて12交点以下の場合の分類を行った.
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