研究概要 |
3次元球面あるいはレンズ空間M内の結び目KがM内に埋め込まれたトーラスTと交差的に交わり、TはMを2つのソリッド・トーラスに分解し、Kを2つのソリッド・トーラス内の1本ずつの弧に分け、それぞれの弧がそれぞれを含むソリッド・トーラスの境界面内の弧に平行であるとき、Tは種数1橋数1分解を与えると言い、Kを種数1橋数1結び目と呼ぶ。種数1橋数1結び目の種数1橋数1分解に関して成果を得た。HとFをそれぞれ種数1橋数1結び目の種数1橋数1分解を与えるトーラスとする。このとき、Kを分岐集合とするMの2重分岐被覆空間が存在すれば、また、HとFが強既約分解であれば、適切なアイソトピーによって動かして、互いに空でないK本質的な閉曲線たちで交わることが知られている。なお、3次元球面内の結び目は全て2重分岐被覆を持つ。また、強既約でない分解を弱可約分解と呼び、弱可約分解を持つ種数1橋数1結び目は自明結び目か、核結び目か、2橋結び目か、核結び目と2橋結び目と連結和であることが分かり、極めて特殊な場合と言える。ここで、核結び目とは結び目外部がソリッド・トーラスとなるレンズ空間内の結び目のことである。2つの分解HとFがK本質的閉曲線たちで交わるとき、HとFをペア(M,K)内の適切なアイソトピーによって動かした後、以下のいずれかの条件が満たされることを証明した。1:HとFはアイソトピックである。2:Kは自明結び目、核結び目、2橋結び目、核結び目と2橋結び目の連結和、トーラス結び目、衛星結び目のいずれかである。3:HとFは1本または2本のK本質的閉曲線で交わる。さらに3の場合を詳しく調べたが、字数が足りない。現在、種数1橋数1結び目外部のへゴール分解を調べている。最近、デーン手術とヘゴール分解の研究がリーク氏によって進んだので、3次元球面やレンズ空間を生み出すデーン手術の研究への応用が期待できる。
|