1. 大山淑之氏(名古屋工大)・山田修司氏(京都産業大)との共同研究において以下を示した。任意の自然数nと任意の結び目Kに対してある結び目解消数1の結び目Jが存在してKとJは次数かn以下のバシリエフ不変量の値が全て一致する。従来から結び目解消数1という条件を外した結果は知られていたが、今回この条件を付けることに成功した。これによって次数を固定して考える以上バシリエフ不変量によって結び目解消数の評価は不可能であることが判明した。証明は葉広和夫氏(東大)の定義した結び目の局所変形を用いてなされた。 2. 安原晃氏(東京学芸大)との共同研究において以下を示した。葉広和夫氏(東大)の定義した結び目・絡み目の局所変形のシリーズの自然な一般化を空間グラフに対して定義したとき、適当な条件のもとて2つの空間グラフがそれらの局所変形で互いに移りあうための必要十分条件を、結び目のバシリエフ不変量のある種の一般化としての有限型不変量の言葉で記述した。 3. 安原晃氏(東京学芸大)との共同研究において以下を示した。葉広和夫氏(東大)の定義した結び目の局所変形の一つであるクラスプーパス変形による結び目、2成分絡み目、3成分絡み目、代数的分離絡み目、互いに交わらない2つのサイクルを含まない空間グラフ、の分類を与えた。これは結び目の場合の葉広氏の結果を拡張したものである。必要な不変量としてはコンウェイ多項式の2、3、4次の係数、絡み数そして3成分絡み目のミルナー不変量が用いられた。
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