研究概要 |
本研究の目-は連結Lie群のループ群の分類空間BLGのZ/l-係数コホモロジーの環構造を決定することである.そのための道具としてEg2-項がCotor_<H*(G;Z/l)>(H^*(G;Z/l),Z/l)であり,H^*(BLG;Z/l)に収束するEilenberg-Mooreスペクトル系列を利用するのであった.このE_<2->項の計算においてはじめに問題になるのがZ/lのH^*(G;Z/l)-余加群としての射影的分解を与えることである.これについては特にGが単連結コンパクト例外Lie群である場合,twisted tensor積と呼ばれる微分複体(W,∂)が有効であることが知られてる.Cotor_<H*(G;Z/l)>(H^*(G;Z/l),Z/l)に到達するため次に問題になるのが(w,∂)を微分代数にするようなtwisted tensor積上の代数構造を具体的に決定することである.本研究で取り扱う場合においては,それらのtwisted tensor積(w,∂)の構成法に一般論がないために(w,∂)上の微分代数構造についても個々の場合に定義し,確かめる方法がとられた.今年度の研究ではl=3とl=2(E_8を除く)の場合に既に構成されているtwisted tensor積を用いてこの上にうまく代数構造を定義し(W,∂)が微分代数になることを確かめた.またこの微分代数の構造からE_<2->項を計算する微分代数を(G,p)=(PU(3),3),(E_6,3),(E_7,3),(E_8,3)の場合に具体的に書き表し(PU(3),3)の場合にはE_<2->項を代数として決定した. 最近TezukaによりCotor_<H*(G;Z/l)>(H^*(G;Z/l),Z/l)から有限Chevalley群G(F_q)のZ/l-係数コホモロジーに収束するスペクトル系列が構成された.これによりtwist-ed tensor積の微分代数構造がH^*(G(F_q);Z/l)の計算に情報を与える可能性が高まった.研究の過程で構成される(W,∂)の積の適用(応用)範囲が広がったといえる.
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