研究概要 |
非対称行列を係数行列とする連立方程式を有効に解く反復解法として、“順序付き改良SOR法"え合わせた点である。特に係数行列が三重対角行列の場合、この手法は緩和係数を反復行列L_Φに対しp(L_Φ)'=0となるように決めるため、高々n回の反復での収束が保証され、直接法のGaussの消去法のLU分解と対応する。このことを示した論文“Improved SOR method with orderings and direct methods"が昨年5月にJapan J.Indust.Appl.Math.に受理された。 上記の線形の問題に対する結果を、非対称性のある移流拡散方程式εΔu+p(x)u+q(y)u_y=f(x,y,u)へ応用した論文“A practical choice of parameters in improved SOR-Newton method with orderings"が今年度、J.Comput.Appl.Math.に受理された。これはR^N(N=1,2,3)におけるDirichlet問題Δu=f(u)inΩ,u=g on ∂Ωを離散化して得られる半線形方程式に対してSOR-Newton法を用いた際の、石原和夫教授(大阪女子大)他により1997年に発表された大域的収束定理を拡張し、具体的な緩和係数の与え方を示した結果となっている。 一方で室谷義昭教授(早大)と高間教夫氏(セガ)との共同研究で、遅れのある微分方程式=y'(t)=ay(t)+by(qt)+bとVolterra積分方程式:y(t)=y_0+a∫^t_0y(s)ds+b/q∫^<qt>_0y(s)ds,y(0)=y_0<q<1に対するH.Brunner教授のopen problemを解き、拡張した論文をBITに投稿していたが、‘実験例を加えることで受理する'という査読者からの指示があり、現在修正中である。今年度、これを無限の遅れを持つneutral型関数微分方程式:y'(t)=ay(t)+Σ^∞_<i=0> biy(qit)+Σ^∞_<i=0>c_iy'(pit),y(0)y_0,0<p_i,q_i【less than or equal】1にまで拡張し、Computingに投稿した。
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