研究概要 |
今年度は、多変数複素解析学における重要な積分核であるベルグマン核とセゲー核の特異性の研究を中心に行った。特に、領域として、弱擬凸でかつ柱状という条件のもとで、二つの積分核の研究を詳しく行った。これらの研究はすでに、強擬凸領域の場合については、非常に精密な結果が得られている。これらの積分核について、対角線集合上に制限した場合の境界での特異性と対角線集合以外の以外の滑らかさに関して興味を持ち、双方についてある研究の成果を2時限柱状弱擬凸領域に関して得ることに成功した。対角線集合状の特異性について、強擬凸領域の場合と似ているものの本質的に弱擬凸特有の現象を漸近展開という形で見出すことに成功した。さらに、対角線集合以外の境界上の滑らかさは、実解析的な範疇のなかで、一般の弱擬凸柱状領域に関しては、崩壊することを示した。この研究は、論文"Non-analytic Bergman and Szego kernels on weakly pseudoconvex domains in C^2"にまとめてある。これらの解析には、一変数のある特殊関数が現われこの関数の性質を調べることが必要となる。この関数の研究を、韓国のHaseoKi,Young-OneKim両教授と共同研究を行い満足する結果が得られた。この結果は、ProceedingAmer.Math.Soc.に近々発表される予定である。上のべルグマン核の特異性の研究は、実解析的な問題にも応用されるもので、弱擬凸柱状領域のブロッホ関数の特徴付けに関する結果を得て、京大数理解析研究所で発表した。
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