研究概要 |
バナッハ空間において、非拡大半群に対する共通不動点への強収束定理について一連の結果を得た。共通不動点への収束定理については、弱収束を示した結果は色々あったが、余分な条件を付けずに強収束を得た結果はほとんどなかった。ポイントとなったことは、meanを用いて収束する点列をうまく定義したことである。一般の非拡大半群に対して定義をするのは難しいので、バナッハ空間の閉凸集合上の非拡大写像Tに対して強収束する点列{X_n}の構成法を示すと、{a_n}を[0,1]の数列、出発点x_0およびyをCの任意の点とし、X_<n+1>=a_ny+(1-a_n)(n+1)^<-1>Σ^n_<i=0>T^ix_nとすることである。 また、強収束定理を証明する際に用いた補助定理を活用することにより、10数年間未解決であったamenable半群に対する非線形エルゴール定理をバナッハ空間で証明した。線形写像の半群に対しては、60年代にDayが結果を得ているが、その非拡大半群への拡張である。ポイントとなったことは、Bruckによって研究されたtype(γ)と呼ばれる非拡大写像の性質を詳しく調べたことである。 さらに、バナッハ空間において、非線形発展方程式u'(t)+Au(t)∋f(t)に対する周期解の存在についての結果を得た。ヒルベルト空間において得られていたCascaval-Vrabieの結果をバナッハ空間に拡張し、porous medium方程式に対する周期解に応用した。ポイントとなったことは、カラテオドリ写像fを局所リプシッツな関数で近似することである。
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