Longo-Rehren部分因子環の研究を行ってその構造を明らかにし、多くの例で具体的な計算を行った。部分因子環から構成されるasymptotic inclusionとquantum double構成法の類似点は以前よりOcneanuにより指摘されていた。一方Longo-Rehren部分因子環とasymptotic inclusionが数学的に同値であることは増田俊彦により示されている。この研究ではLongo-Rehren部分因子環が単なるquantum doubleの類似物ではなく圏論的な意味での部分因子環のquantum doubleであることを明らかにした。従来asymptoticinclusionの具体的記述は、元の部分因子環がbraidingを持つ場合と有限群から構成される場合以外には全くなされていなかった。この研究では、多くの部分因子環をCuntzalgebraの自己準同型で実現することにより、それらのLongo-Rehren因子環を具体的に計算した。これは3次元多様体の位相不変量との関係上も有意義な結果である。現在得られた結果を整理して発表する準備中である。 幸崎秀樹と共同で指数理論の手法による有限次元Kac代数の研究を行ない、その結果として多くの構造定理や31次元以下のKac代数の完全分類等の結果を得た。現在結果を整理して発表準備中である。また我々の得た結果は純代数的な研究からは気づかれていない事実を多く含んでおり、その純代数的意義の追求は今後の課題である。
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