今年度は、偏微分方程式において、領域に対称性がある場合、解が必ず対称性をもつかどうか、という問題を考えた。とくに、非線形楕円型偏微分方程式に対する Dirichlet 問題の正値解、および全域R^nにおける正値解の対称性と単調性について考察を行った。この問題は、偏微分方程式論に対する ODE アプローチの位置づけにおいて重要な問題であり、また、領域の幾何学的性質が方程式の解に反映されるかどうか、という定性的理論に関わる問題でもある。以下の成果を得た。 1.Dirichlet 問題については、その領域においてPoincare^^´計量を導入することにより従来の結果を拡張することに成功した。 2.非有界領域における最大値原理を援用することにより、Δu+φ(|x|)f(u)=0 in R^nにおいて、∫^∞_0rφdr<∞であれば、有界な正値解は球対称に限定されることが明らかになった。 3.Paddila (1997) によって提出された moving sphere method という技法に対して、領域に導入される計量に注目することにより、moving plane methhod との関係が明らかになった。また、この moving sphere mehtod を、より一般の偏微分方程式に適用できるよう一般化することができた。
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