ガリレオ木星探査を支援するパイオニア・データの精密解析

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10740097
• 研究機関: 東京理科大学
• 研究代表者: 佐藤 毅彦 東京理科大学, 計算科学フロンティア研究センター, 講師 (10297632)
• キーワード: 木星 / 雲層構造 / エアロソル / 光散乱 / 放射伝達 / 位相関数 / パイオニア / ガリレオ

研究概要

本年度は以下に示したように、研究計画に沿って研究を進めることができた。
●第一期(4月〜7月)には、予定通り放射伝達計算プログラムを改良し、計算効率を改善することで、多数のパラメータの組合わせを実用的な時間内に計算できるようにした。計算環境の改善を行ない、それが期待通りに機能することを確認した。
●改良されたプログラムを用い、木星エアロソル粒子の散乱位相関数に対して、制限を加えることができた。この初期成果は、月惑星シンポジウム(文部省宇宙科学研究所、1998年8月)、日本天文学会秋期年会(山形大学、1998年10月)、アメリカ天文学会惑星科学分科会年会(ウィスコンシン州マディソン、1998年10月)、アメリカ地球科学連合秋期年会(カリフォルニア州サンフランシスコ、1998年12月)で発表し、関連研究者と議論を行なった。
●9月に飛騨天文台(京都大学理学部)を訪れ、65cm屈折望遠鏡とCCDカメラの組合わせを用い、木星測光データを得た。好天に恵まれ、三夜の観測で1.5ギガバイトに及ぶデータを得ることに成功した。現在までデータの一次処理を完了し、これから二次処理(モデル計算と比較ができるようにする)を行なう状態にある。
●初期解析結果を論文にまとめる作業を開始した。計画通り、第四期(平成11年度4月〜7月)には学術雑誌へ投稿できる見込みである。

研究成果

• [文献書誌] S.Itoh, N.Kakikura, K.Kawabata, and T.Satoh: "Phase function of Jovian cloud deduced from reanalysis of Pioneer data" Bulletin of American Astronomical Society. 30. 1070 (1998)
• [文献書誌] N.Kakikura, S.Itoh, K.Kawabata, and T.Satoh: "Jovian upper cloud structure near the Great Red Spot based on Galileo orbiter ob-servations" Proceedings of ISAS Lunar and Planetary Symposium. 31. 30-33 (1998)
• [文献書誌] S.Itoh, N.Kakikura, K.Kawabata, and T.Satoh: "Single scattering phase function deduced from reanalysis of Pioneer 10 and 11 data" Proceedings of ISAS Lunar and Planetary Symposium. 31. 42-45 (1998)
• [文献書誌] T.Satoh, S.Itoh, N.Kakikura, and K.Kawabata: "Phase functions of Jovian clouds deduced from reanalysis of Pioneer data" EOS, Transactions, American Geophysical Union. 79. F550 (1998)