1998年度は、(1)スペースVLBI(VSOP)による電波銀河OQ208の観測、(2)VSOPによるセイファート銀河3C84の観測、(3)VSOPによる電波銀河Cygnus Aの観測、(4)国内VLBI観測網による活動銀河9天体の吸収線サーベイ観測を行った。 (1)では、電波銀河OQ208が5 GHzより低周波側で二つの電波ローブが非対称な自由-自由吸収を示すことを発見した。二つの電波ローブ方向の吸収係数の差から吸収体の温度と密度を求め、電波ローブが低温・濃密なプラズマに閉じこめられていることを明らかにした。電波銀河の進化モデルに影響を与えると考えられる。この結果は第32回COSPAR総会及び1998年日本天文学会秋季年会で報告した。また、Publication in Advances in Space Researchに投稿中。さらに日本天文学会欧文報告(PASJ)にも投稿準備中である。 (2)では、セイファート銀河3C84の電波ローブが周囲のプラズマに衝突して還流を形成する様子を明らかにした。この結果は1999年日本天文学会春季年会で報告する予定であり、論文を準備中である。 (3)は観測は終了し、現在データを解析中である。1999年度内に結果をまとめて報告予定。 (4)では9天体について吸収線サーベイを行った結果、吸収係数の上限値3%で検出されなかった。これらのことから、自由-自由吸収を示すガスの温度・密度に制限があたえられる。この結果は1998年度VLBIシンポジウムで報告した。
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