本研究では、圧力を制御しながら、光ポンピング法を用いて、高偏極^<129>Xe気体を冷却固化することで、高偏極固体の生成開発を目指す。本年度はXe固体を特に「交差偏極による不安定核偏極実験」へ応用することを中心に開発を進めた。交差偏極法による測定では^<129>Xe固体偏極度Pが大きいことや偏極緩和時間T_1が長い以外に、固体量が十分ある、交差偏極時(偏極保持磁場B_0〜0G、交差時間<1s)の測定時間は、T_1と交差時の偏極保持率Dcrsに依存するため、Dcrsが大きいことがあげられる。今年度は、以下の研究を行った。 1)封入する圧力を制御することで、80〜160mgの固体を生成し、固体偏極法改良により前年度得た80mgエンリッチ^<129>Xe固体(P〜5%、T_1>50分)以外に、120mgでP〜4%、160mgでP〜0.2%Xe固体を得た。また、AFP法でPの時間変化測定により、特に160mgでPが小さいのは、温度>140Kでの偏極緩和のためで、<140K領域では、全ての固体量で十分長いT_1を持つことなどを実測した。 2)エンリッチXe(^<129>Xe〜80%、^<131>Xe<1%)を用い、磁場1.5〜9G、交差時間<300msの条件で測定値Dcrs〜95%を得た。この値は、^<131>Xeへの偏極移行評価値のみでは、説明できず、また測定時間がT_1よりDcrsに依存してしまうことを示しており、今後、この向上が望まれる。 3)天然セル(^<129>Xe〜26%、^<131>Xe〜21%)でも2)と同じ条件でDcrsを測定し、Dcrs〜70%を得た。この値は、^<131>Xeへの偏極移行評価値とほぼ一致し、間接的に交差偏極による偏極移行を実証している。 4)ビーム実験を想定し、RF制御システムを、PC-Linnx+CAMAC、GPIBを用いて開発し、ビームを用いて動作を確認した。上述1)、2)、3)の測定は、ここで開発した、システムを用いている。 5)バルブ付セル開発では、Rb封入とXeガス詰め替え等を行った。また、セル保持条件により封入したRbが数ヶ月状態を保つことを確認した。ただしレーザー故障もあり、Xe偏極をAFPで促えるまでには、至ってない
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