最近の弦理論の発展により、ゲージ理論の非摂動的性質を、D-brane上のダイナミクスを調べることにより分析することが可能となった。D3-braneに端を持つような分岐した弦は、N=4のSYM理論において、電荷と磁化が比例しないような1/4BPS状態として現れるであろうということが預言された。我々は、このような配位をN=4のSYM理論の側から具体的に調べることに成功した。まず、N=4 SYM理論の運動方程式を解くことにより、1/4BPS状態の古典的配位を具体的に求めた。そして、解の微小変形を議論することにより、解が連続パラメータを持つことを示し、そのモジュライ空間の次元を求めた。更に、フェルミオンゼロモードの数を求めた。その数は、ボゾニックなモジュライ空間の次元と異なり、モジュライ空間は超対称でないことが分った。これは、今までに知られていたSYM理論の解の性質とは著しく異なるものである。 また、我々はそのような弦の配位を、M理論の立場から、コンパクト方向に巻き付いたM2-braneとして議論した。特に興味を持ったのは、7-braneや3-braneの背景場のある場合である。7-braneの背景場は、あるhyperkahler多様体としてあらわされる。そのhyperkahler多様体の複素構造を具体的に調べることにより、上記のような弦の配位に対応するM2-braneの配位の存在を示した。また、3-braneはM理論の立場ではM5-braneとしてあらわされる。従って、対応する配位はM5-braneに端を持つM2-braneであり、そのような配位の存在を示し、ある簡単な場合に具体的にその配位を求めた。 今年度のこれらの研究により、そのような弦理論、M理論、SYM理論の、互いに対応する配位が無矛盾に存在することが確かになった。
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