統一理論として有望な超弦理論の現在の問題点は、摂動論的に安定な真空のまわりの摂動論としてしか定式化させておらず、そのような真空は無限個あることである。真の真空は理論の非摂動効果が決定していると考えられている。この真の真空を決定するには、理論の構成的定義を与えるのが近道である。このような構成的定義の候補として、研究代表者が石橋氏、川合氏、北沢氏と1996年に提唱したIIB Matrix Modelやその類型である1997年に糸山氏と都倉氏によって提唱されたUSp(2k)Matrix Modelなどがある。 今年度はこれらについての知見を深める研究を行なった。まず、US-p(2k)Matrix Modelについては、糸山氏と共同で模型のSchwinger-Dyson方程式を考察し、確かにこの模型がtype I'stringの相互作用を記述していることを確かめ、この立場からこの模型を再構築した。次にIIB Matrix Modelについては、多田氏と共同で模型のglobal topologyの問題を解決するためにユニタリー行列化を試みた。また、青木氏、磯氏、川合氏、北沢氏、多田氏と共同で、模型のSchwinger-Dyson方程式を再考察し、適当なscaling limitと整合することを確認した。
|