研究概要 |
本研究では、シリカエアロゲルを幅射体とするリング・イメージング・チェレンコフ検出器(Aerogel-RICH)の開発研究を行っている。本年度の研究の骨子と得られた結果は、以下の如くである。 1.高屈折率エアロゲル(n=1.04〜1.06)の透過率向上に関するスタディー シリカエアロゲルの透過率改善を目指して、原料材料混合比、ゲル熟成期間、超臨界抽出条件の最適化を行い、波長400nmの光に対して約45mmの透過長が得られた。 2. 検出器デザインのための精密なモンテカルロ計算プログラムの開発 エアロゲル内で発生したチェレンコフ光のカウンター内での伝搬と光検出器による受光効率を推定するためのモンテカルロ・シミュレーション・プログラムを整備し、検出器デザインの最適化を行った。 3. マルチ・アノード型光電子増倍管のテスト 光検出器として用いる予定のマルチ・アノード光電子増倍管について、位置分解能及び受光面に集光用のライトガイドを取り付けた場合の受光効率に関するテストを行い、十分な性能を有することがわかった。 4. ビームテスト 予備的なビームテストを行った結果、5cm厚のn=1.03のエアロゲル幅射体を用い、光速粒子に対して15p.e,の光量が得られることがわかった。この値はAerogel-RICH検出器の有用性を示すものである。 今後は高屈折率エアロゲルを使ったproximity focusing型aerogel-RICH検出器のテストをマルチ・アノード型光電子増倍管を使って行う必要がある。
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