研究概要 |
本年度の主な結果は以下のとおりである。 1.C_<70>結晶において、様々な方法で熱処理した試料について、励起光エネルギー、測定温度、印加圧力を変化させて、発光スペクタルと発光寿命の測定を行った。その結果、C_<70>結晶の発光には、結晶内に存在する二種類の欠陥に起因した成分があることがわかった。 2.前年度の結果、常温・高圧下では、C_<70>結晶は光重合反応が起こらないことがわかった。そこで、高温・高圧下におけるるC_<70>結晶の光照射効果を調べた。実験は、東京大学物性研究所(八木研)の共同利用で行った。ダイアモンドアンビルに熱風を吹き付けることにより、摂氏200度5GPaまでの温度圧力の範囲で、C_<70>結晶の処理を行った。 3.物性研で作製した試料について、フーリエ赤外分光器を用いて赤外吸収スペクトルの測定を行った。100℃、3GPaで高温高圧処理した試料と未処理試料の比較を行ったところ、重合したことを示唆する赤外吸収スペクトルが得られた。また、同じ温度圧力条件で光反射を同時に行った試料についても比較したが、明確な光照射効果は現れていなかった。 4.本学理学部篠原研にて、高温高圧処理した試料の質量分析スペクトルを測定した。しかし、質量分析に用いたレーザーの出力が不十分であったため、質量分析スペクトルにおいては、いづれの試料も重合体(C_<140>,C_<210>,…)の存在を示すデータは得られなかった。 今後、重合体の評価方法を改良しつつ、より広い温度、圧力範囲で、圧力誘起光重合反応について、引き続き研究を行っていく予定である。
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