f電子系化合物にみられる重い電子系では、特性温度が1Kから数Kと極めて低く、1K程度で反強磁性などの磁気転移を示す物質がある。また、量子スピン系磁性体においても1K以下の極低温で興味ある磁性を示すものも見つかっている。これらの物資の基底状態、励起状態を系統的に研究するためには極低温において定常強磁場での磁化の精密な測定が必要である。我々は、東北大金研強磁場センターにおいて、30Tの定常強磁場下で極低温での磁化測定が行なえる装置を作成した。CuBe製の小さな電極板を作ってコンデンサーを作成し、片方の電極板の上に試料を載せる。外部磁場を加えて、それと平行に磁場匂配をつけると試料に力が働き、それに伴い電極板が移動し、キャパシタンスCが変化する。Cの変化量から磁化の大きさを決定することが出来る。これまでにf電子系の磁化測定を^3He冷凍機を用いて0.5K〜4.2Kの温度範囲で行なった。CeSbのLa10%希釈系においては、低温になるにつれてFP相の磁場領域が狭くなり、転移に伴う磁化の跳びも鋭くなることが分かった。また、dHvA振動も観測され、F=1500テスラ程度の振動も観測され、このことは、この装置が高精度の磁化測定装置であることを証明している。さらに、ウラン超伝導体のメタ磁性転移について18T付近で詳細な観測を行い、ヒステリシスを伴う1次転移であることを世界で初めて見いだした。
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