まず、La_2NiO_4については、スピン波について、過剰酸素ドープ系La_2NiO_<4.11>で見られた二つのモード、すなわち、低エネルギー側に現れるrenormalizeされた相互作用で特徴付けられるドーブの効果を大きく受けたモードと高エネルギー側に見られるほぼドープの効果を受けていないモードの詳細、特に、低エネルギーモードの様子を追及するため、新たな試料La_2NiO_<4.02>を含めた詳細な実験を行い、低エネルギーモードについて散乱強度がドープとともに低下すること、renormalizeされた相互作用の大きさが系全体の振る舞いであるNeelをよくスケールすることなど、これで、これまでこのモードの起源として考えられていた不純物モードという可能性を否定する結果を得た。最近、この実験結果に刺激を受けた理論グループが、ドープによって強磁性の相関が導入されると実験結果をある程度説明できるという報告を行っており、興味深い。 La_2CoO_4に関しては、化学量論的組成の系について、スピン波、二次元スピン相関距離の測定を行った。これは、現在、実験、結果の解析共に中途段階であり、まだはっきりしたことを言える段階ではないが、La_2CuO_4、La_2NiO_4に比べ大きなIsing異方性が大きく系の振る舞いに効いていることを伺わせる結果を得ている。来年度引き続き研究を行い、この点をより明確にしたい。 また、酸素量調整用の精密雰囲気制御アニール炉については、建設、試験運転をほぼ終え、既にLa_2NiO_4系の試料のアニールに用いている他、来年度からは本格的に運用し、La_2CoO_4の酸素相図の作成を開始する。
|