零磁場Cu-NQRによりCeCu_<5.9>Au_<0.1>多結晶粉末の核磁気緩和時間T_1を極低温域まで測定し、(T_1T)^<-1>が60mKまで増大し続けることを明らかにし、反強磁性スピン揺らぎを考慮したSCR理論で定性的に合うことを示した。即ち、CeCu_<5.9>Au_<0.1>の非フェルミ液体的異常は、高温での局在f電子状態から極低温でのフェルミ液体状態へのクロスオーバーとして理解できることになる。(以上、Physica B)さらに、直径6mmの大型単結晶試料(CeCu_6、CeCu_<5.9>Au_<0.1>)を用いてCu-NMRを行うことにより、ナイトシフト及び超微細相互作用係数を決定し定量的な解析を進めている。また、l.5GPaまでのCeCu_6の高圧NQR実験により、圧力により1/T_1、が30〜50Kというかなりの高温から抑えられることが明らかになった。これは、f電子と伝導電子の混成の増大を通じて、f電子状態そのものが大きく変化した可能性がある。今後、CeCu_<5.9>Au_<0.1>のT_1の圧力依存性を測定し、非フェルミ液体からフェルミ液体状態へのクロスオーバーについて詳細に調べる必要がある。 希釈Ce合金Ce_xLa_<1-x>Cu_<2.2>Si_2いおいては、弱磁場におけるCu核のナイトシフト、T_1の測定から、f電子スピン間の反強磁性相関が低温で発達することが明らかになった。この反強磁性のスピン揺らぎは磁場により顕著に抑えられ、5Tの磁場ではフェルミ液体的な温度依存性が回復する。このような磁場効果は、比熱及び帯磁率実験でも同様に観測され、この系の非フェルミ液体的挙動もCeCu_<6-x>Au_x系のようにインターサイトのスピン揺らぎに起因するものであることを示した。(以上、Physica B)
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