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1998 年度 実績報告書

一次元スピン系における量子効果の研究

研究課題

研究課題/領域番号 10740182
研究機関理化学研究所

研究代表者

松田 雅昌  理化学研究所, 磁性研究室, 研究員 (90260190)

キーワード一次元スピン系 / 銅酸化物 / 中性子散乱 / ダイマー状態 / 反強磁性秩序
研究概要

今年度は、特に一次元CuO_2鎖(約90度の角度を持つCu-O-Cuの超交換相互作用で結合)を有する銅酸化物の磁性に注目して実験を行った。物質としては(La,Y,Sr,Ca)_<14>Cu_<24>O_<41>及びCa_<2+X>Y_<2-X>Cu_5O_<10>を用いて行った。これらの物質では、CuO_2鎖上のホール濃度を調節出来るという特徴を持つ。磁気的性質としては、ホールが高濃度にドープされた系ではdimer状態が基底状態となり、ホール濃度が減少すると反強磁性秩序を示すようになる。(La,Y,Sr,Ca)_<14>Cu_<24>O_<41>系では、Sr_<14>Cu_<24>O_<41>(高濃度ホールドープ系)と(La,Ca)_<14>Cu_<24>O_<41>(低濃度ホールドープ系)の大型単結晶を育成し中性子散乱実験を行った。その結果、Sr_<14>Cu_<24>O_<41>においてはCuO_2鎖を含む面においてCu^<2+>(S=1/2)とCu^<3+>(S=0)の2次元的な電荷秩序が起こり、その結果として磁性を持ったCu^<2+>同士がdimerを形成することがわかった。また、La_5Ca_9Cu_<24>O_<41>では低温でCu^<2+>モーメントの磁気秩序が観測され、CuO_2鎖内ではCu^<2+>モーメントが強磁性的に配列することがわかった。さらに、Cu^<2+>モーメントがCu位置に局在せずに酸素との強い混成によって酸素位置にまで拡がっていることを示した。
またCa_<2+X>Y_<2-X>Cu_5O_<10>系では、単結晶育成を試みたが、大型単結晶育成をすることが出来なかったため、粉末試料(低濃度ホールドープ系)を用いて帯磁率、比熱、中性子粉末回折測定を行った。その結果、La_5Ca_9Cu_<24>O_<41>と同様にCuO_2鎖内ではCu^<2+>モーメントが強磁性的に配列することや磁気モーメントが酸素位置にまで拡がっていることを示唆する結果を得た。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] M.Matsuda et al.: "Magnetic properties of the quasi-one-dimensional compound Ca_<2+x>Y_<2-x>Cu_5O_<10>" Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 177-181. 683-684 (1998)

  • [文献書誌] M.Matsuda et al.: "Ordering of oxygen moments in ferromagnetic edge-sharing CuO_4 chains in La_<14-x>Ca_xCu_<24>O_<41>" Physical Review B. 57. 11467-11471 (1998)

  • [文献書誌] M.Matsuda: "Neutron scattering studies of the chains and ladders in Sr_<14>Cu_<24>O_<41> and related compounds" Physica B. 241-243. 758-764 (1998)

  • [文献書誌] M.Matsuda et al.: "Magnetization measurements of the quasi-one-dimensional magnet Sr_<14>Cu_<24>O_<41>" Physica B. 246-247. 516-519 (1998)

  • [文献書誌] M.Matsuda et al.: "Quasi-two-dimensional hole ordering and dimerized state in the CuO_2-chain layers in Sr_<14>Cu_<24>O_<41>" Physical Review B. 59. 1060-1067 (1999)

  • [文献書誌] M.Matsuda et al.: "Magnetic ordering of the edge-sharing CuO_2 chains in Ca_2Y_2Cu_5O_<10>" Journal of Physical Society of Japan. 68. 269-272 (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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