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1999 年度 実績報告書

脂質の多形転移過程における液晶相形成の解明および動的過程の相図作成

研究課題

研究課題/領域番号 10740208
研究機関広島大学

研究代表者

上野 聡  広島大学, 生物生産学部, 助教授 (50243605)

キーワード多形現象 / 結晶化過程 / 液晶状態 / 脂質の相転移 / トリアシルグリセロール / 時分割X線回折法 / ラメラ構造 / 副格子構造
研究概要

本研究課題では、トリアシルグリセロール(TAG)について、融液状態からの結晶化過程について、主にして熱測定および時分割X線回折法を用いて研究を行った。研究成果は以下の通りである。
(1)TAGにおける液晶状態の存在
数種類のTAG単成分および二成分系についてさまざまな温度条件や混合比率で測定を行った。その結果、代表的なTAGであるSOSでは液晶状態の存在を確認し、その存在条件をより詳細に調べた。またSOSを含む二成分系について、ある特定の混合比率において、液晶状態の存在が示唆される結果を得たが詳細は今後の課題である。本研究も含め国内外のここ2・3年の知見を総合すると、TAGにおいて、液晶状態は広く存在すると考えられる。ただし、その存在条件の解明(温度や圧力条件・せん断応力の有無・二成分における混合比率等)についてはさらなる研究を要する。
(2)TAGの2成分系の動的な相図の作成
現在、数種の二成分系について、不安定多形をも加えた相図の時間変化(動的な相図)を作成中である。
(3)液晶状態の存在と発現する多形の種類および液晶化速度の関係
液晶状態の有無により、多形発現に影響のあることが明らかとなった。SOSに関して、液晶状態の有無により異なる多形が出現した。この結果は、液晶状態の形成が、ある特定の結晶多形の鋳型または前駆体となっていると考えられる。また、TAGの結晶化過程を調べると、SOSに関しては、時分割X線回折法により、ラメラ相の形成(秩序化)の方が、SOSを構成する脂肪酸鎖のパッキング形成よりも、液晶状態の有無に拠らず、先に始まることが示唆された。ラメラの形成が結晶化の第1段階と考えられる上記の結果は、液晶状態の形成と結晶多形の前駆体との関わりを示唆する。液晶状態と結晶化との関連については、液晶状態の存在条件の探索とも関わっており、今後なお一層の研究を要する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] S.Ueno: "Synchrotron Radiation X-ray Diffraction Study of Polymorphic Crystallization of SOS from Liquid Phase"Journal of Crystal Growth. 198/199. 1326-1329 (1999)

  • [文献書誌] K.Sato: "Molecular interactions and kinetic properties of fats"Progress in Lipid Research. 38. 91-110 (1999)

  • [文献書誌] K.Boubekri: "Polymorphic Transformations in sn-1,3-Distearoyl-2-ricinoleyl-glycerol"Journal of the American Oil Chemists'Society. 76. 949-955 (1999)

  • [文献書誌] S.Ueno(分担執筆): "Physical Properties of Fats,Oils&Emulsifiers Application to Foods"editated by N.Widlak,AOCS Press. 442 (2000)

  • [文献書誌] 上野 聡(分担執筆): "食品とガラス化・結晶化技術"村勢則郎,佐藤清隆 編,(株)サイエンスフォーラム. 352 (2000)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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