三角格子をそのボンドに沿ってランダムに折り畳んでいく問題を更に解析した。前年度までに三角格子模型の統計的な性質およびランダム折り畳みよる端点間距離Rの変化R^2〜N^<-1.1>(ここでNは折り畳み回数)、シワの長さの折り畳み回数依存性L(N)、シワの各頂点での分布、曲げのエネルギーEの変化(つまりシワの長さ)の統計法則P(ΔE)〜ΔE^<-2.1>を明らかにしてきた。今年度の成果としては、しわくちゃに丸めた紙(薄い弾性体)の発する音の頻度分布が音の強さの逆巾で振舞う機構を解明するため、ランダムネスを持つ三角格子模型のランダム折り畳みの研究、および、ランダム折り畳み過程を理論的に解析して、その統計法則の理解を深めたことである。 まず、ランダムネスをhった三角格子のランダム折り畳みに関してであるが、ランダムネスとして三角格子のポンドの上に、曲げ弾性の係数として±1をランダムに置いたスピングラス的な場合と、実際にランダムに折り畳み、折り畳まれたところに-1、折り畳まれてないとこには+1を置いたモデルを数値的に調べ、前者の場合は、単に曲げエネルギーの変化の統計法則はガウス分布になるだけなのに対し、後者の場合には、折り畳み方や折り畳み回数によらず、P(ΔE)〜ΔE^<-2.1〜-2.3>となることが分かった。この結果は、境界条件やランダムに折り畳む過程を少し変化させたぐらいでも変わらない普遍的なものであり、また、シワの長さの分布則ともほぼ一致していることから、二つの三角格子をランダムに折り畳む時、その折り畳みパターンには強い相関が働いていることが分かる。この相関は、幾何学的な拘束条件から来るものだと思われる。また、周期境界条件の場合のモデルを理論的に解析した。シワの長さの折り畳み回数依存性が与えられた時の、各頂点の周りでのシワの分布を求める。これは、簡単な平均場理論のモデルでかなりの一致が見られた。
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