研究概要 |
今年度の研究においては,先ず,昨年度までに開発したRunge-Kutta法を用いた古典軌道モンテカルロ計算機コードに計算精度の向上と計算機時間の短縮のためのいくつか改良を加えた。この結果,同じ計算精度の計算結果を得るのに2〜3倍の計算機時間の短縮が達成できた。 この計算機コードを用い,多価イオン(I^<5-30+>)と励起配向水素原子(1s,2s,2p)との低速衝突における電子移行過程の積分断面積と微分断面積を衝突速度v=0.1a.u.付近において計算した。これらの結果はOlsonらによる同様な数値計算結果およびKansas州立大学の実験データと良く一致した。 また,断面積の配向角依存性は適当に定義した衝突時間の見地から定性的によく説明できることを見いだした。この考察は通常の電子捕獲過程に対してよく用いられるExtended Classical over Barrier Model(ECBM)などの静的モデルでは全く予想できないことで,電子捕獲過程における動的効果の重要性を端的に示す例といえる。今回のCTMC法による励起配向原子に対する計算結果は,ECBMによる配向分子標的に対する計算とは直感的に正反対の結果も報告されており,その差異の原因の解析中である。 これらの結果は裏面の研究発表に加え,下記学術雑誌へも投稿準備中である。 'Classical Trajectory Mote Carlo Calculations for Capture Processe',J.Phys.B.,to be submitted(2000). 'Orientational Effects in Capture Processes',J.Phys.B.,to be submitted(2000).
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