地殻の不均質性が地震波の伝播異常に与える影響の定量的考察を3次元数値シミュレーションをもとに考察した。過去の大地震時に見られた特異な震度分布以上の原因を、この不均質媒質中の波動伝播の異常の観点から評価した。 日本列島における地殻の不均質構造を西南日本と東北日本に分けてそれぞれ3次元数値シミュレーションモデルに組み込み、高感度短周期地震観測網(Jarray)、広帯域地震観測網(Freesia)、および気象庁87型加速度計記録で得られている波動伝播特性の再現を行った。 また、1944年東南海地震、1946年南海地震、1985年メキシコMichoacan地震についての3次元強震動計算を行い 1.日本およびメキシコ大陸で観測される地殻内トラップS波(Lg波)の伝播特性と地殻・上部マントル構造の水平不均質性(プレート沈み込み、火山性堆積物など)との対応の調査 2.西南日本に沈み込むフイリッピン海プレートによる水平不均質地下構造と海溝巨大地震時の波動伝播特性(メキシコと日本の地殻構造との比較)の考察 3.大規模3次元数値計算のための並列計算コード(PSM/FDMハイブリッド法)の有効性の確認を行った。
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