研究概要 |
平成10年度は、地球磁気圏前面太陽風中に形成されるバウショック、および、磁気圏内部プラズマシート境界に形成されるスローモードショック周辺におけるプラズマ波動の特性について、GEOTAIL衛星による観測結果をもとに解析を行った。バウショックでは、一般に準平行衝撃波の場合、数十kHz程度までの静電波動が比較的上流側から観測されるのに対し、準垂直衝撃波の場合は、バウショックの遷移領域そのもので急に観測されることがわかった。これは、準平行衝撃波の場合は、磁力線が直接ショック面に繋がっているため、静電波を励起する電子ビームとその影響が上流域に広がっているためと考えられる。バウショックの遷移領域で観測される静電波については、波形捕捉受信機(WFC)による詳細解析を行った。そこで観測される静電波形は、準正弦波的な波動、静電孤立波(ESW)が数十msec程度の速い時間スケール切り替わっていることがわかった。これらの静電波動は、いずれもその時間スケールから電子のダイナミックスと密接に関係していると考えられ、その発生メカニズムについて、現在、平行して計算機実験による理論計算を開始している。磁気圏尾部のスローモードショック領域におけるプラズマ波動についてもGEOTAIL衛星による波形観測と低エネルギー粒子観測データを用いて解析を行った。その結果、主にイオン粒子観測をもとに決定されたスローモードショック周辺の領域upstream,foreshock,downstreamの各領域にはっきり対応する波動は観測されず、やはり当初の理解の通り、プラズマシート周辺で観測される波動は電子のダイナミクスに関係していると考えられる。平成11年度は、これらバウショック、スローモードショック周辺での波動励起メカニズムに的を絞った計算機実験を行う予定である。
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