研究概要 |
東アジアでは,白亜紀の火成活動と同様にジュラ紀以前の活動も活発であった.最近,中部九州の肥後変成帯地域および朝地変成帯地域において,先白亜紀に活動した花崗岩体の分布が明らかにされてきた.これらジュラ紀以前の火成活動も含め,九州における中生代の火成活動と東アジア大陸縁辺部のそれとの対比を検討した.その結果,今年度の研究成果は以下の4点に集約される. 1. 211 Ma示す肥後変成帯の宮の原トーナル岩は,年代値および岩石学的な類似性から飛騨帯の三畳紀花崗岩類に対比されることが明らかになった. 2. 朝地変成帯地域の山中花崗閃緑岩(164 Ma)および国東半島に分布するのトーナル岩(142 Ma)は,舞鶴帯および朝鮮半島のジュラ紀花崗岩類に対比される可能性がある. 3. 白亜紀火成岩類は西南日本内帯に広く分布している.九州の白亜紀火成活動は,中国地方に分布する領家帯および山陽帯の花崗岩類よりむしろ朝鮮半島南部の花崗岩類に対比されることを明らかにした. 4. 東アジアにおける古生代以後の火成岩類の活動年代は4期に大別される.すなわち,1)Caledonian(450〜370 Ma),2)Hercynian〜Indosinian(300〜200 Ma),3)Early Yanshanian(190〜140 Ma)そして4)Late Yanshanian(140〜70Ma)である.東アジアにおける火成活動と九州の中生代火成活動とを対比すると,九州の中生代火成岩類は2)〜4)の活動時期にそれぞれ相当する.
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