研究概要 |
ケイ酸塩ガーネットの一般化学式X_3Y_2(SiO_4)_3で表され、パイロープ(Mg_3Al_2Si_3O_<12>)とグロシュラー(Ca_3Al_2Si_3O_<12>)は高圧下で連続固溶体を形成し、イオン半径の小さなMgと大きなCaが等価な8配位席を占有している。 単結晶試料の合成実験には岡山大学固体地球研究センターのマルチアンビル型高圧発生装置を用い、1試料のみ大阪大学理学部宇宙地球科学科のキュービックアンビル型高圧発生装置を使用した。合成実験は出発物質としてMgO、CaO、Al_2O_3、SiO_2(試薬特級)の目的組成値の混合物に数モル%のPbO(試薬一級)をフラックスとして加えたものを用いた。出発物質をレニウム箔でカプセル状に包み込み、MgOセルに組み込み、5〜6GPa,1500〜1600℃で8〜12時間保持した後、急冷した。 出発組成とは多少のずれがあるものの固溶体系列をなす単結晶試料の合成に成功した。得られた自形単結晶は最大のもので100μm程度であった。良質の単結晶を選別し、大阪大学理学部宇宙地球科学科および同大学産業科学研究所の四軸X線回折計を用いて、回折強度データを収集した。2000年3月現在、そのうちの三試料について結晶構造の精密化を終了した。化学組成値はX線回折実験後に被験試料をXMAで分析し決定している。 Dempsey(1980)は8配位席でのMgとCaの秩序配列の可能性を示唆しているが、詳細なX線回折実験の結果、今回の試料にはその証拠を見出すことはできなかった。結晶構造の精密化は空間群がIa3dとして行い、2〜3%の良好な一致度因子を得ている。 格子定数の変化はベガードの規則より若干正に湾曲し、原子間距離ではX-O_1距離でごく僅かな正の湾曲傾向が認められる。
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