研究課題
希ガス同位体分析をもとに惑星物質の起源や進化史を解明したいと考え、そのための一アプローチとして、微小領域の希ガス分析法の確立を試みている。本年度は、1)微少量分析に向けての質量分析装置の調整および希ガス抽出時に用いるサンプル固定用チャンバーの作成、2)分析試料の選択・観察、および試料処理方法の検討、を進めてきた。試料としては現在までのところ、始源的阻石(Allende chondrite)といくつかの分化した限石(aubrite,HEDなど)を用いている。これらの試料を、できるだけ試料損失少なく、レーザー照射法による分析に好都合な形状に切り出すことを試み、またレーザー照射により実際にガスを抽出することを行ってきた。試料からの脱ガス希ガス量が多いときには問題が少ないが、より少ないときには試料表面への吸着希ガスの問題など検討すべき事項がまだ残されている。これらの試料準備に際しては電顕観察も可能となるよう考慮しているが実際の観察は今後行う予定である。他方、微小分析という観点から、レーザー照射による希ガス抽出法のほかに金属ワイヤーに試料をのせワイヤーに電流を流し試料を加熱する方法にもメリットがあると思われる(分析領域は大きくなるが、抽出希ガス量が多くなるため分析精度は向上)。この手法も検討しながら、分化した隕石中の捕獲成分希ガスの存在場所、始源的隕石やある種類の分化した隕石中に含まれている短寿命核種129I(半減期1700万年の消滅核種)の分布、などに着目し今後詳細に調べていきたいと考える。
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