本研究においては、実験家との協力が極めて大切であり、多くの人に非共鳴5次分光法あるいは2次元ラマン分光法について知ってもらうことが重要である。この目的のために化学会誌上で我々の研究のこれまでの成果について紹介させてもらう機会を得た。 同様の2次元の分光法が、最近実用化してきたテラヘルツのパルス源を使っても可能であり、有用な分子の情報を与えることが、我々の研究によりわかった。この結果は既に学術誌に発表された。この分光法では、ラマン過程を使わずに振動励起を直接に行えるため、2次元ラマン分光法とは相補的な情報を与える。この論文発表後、内外の実験家・理論家たちと交流する機会を得たが、とても新しく有望なこの取り組みに対し大きな関心が寄せられている。 アメリカの実験家との交流が契機となり、2次元ラマン分光法を複雑な分子の構造解析に使えることに着目し研究を進め論文にまとめた。最近学術誌に投稿し、現在査読をしていただいている。この「構造ツール」としての2次元ラマン分光法の発展は、2次元NMRでの同様の発展に対しノーベル賞が与えられた事でもわかるように、今後きわめて重要な方向となっていくと思われる。これからの本研究において、もっとも重要な方向として取り組んでいきたい。 また3次光学過程についてのMD計算を行い、液体論による我々の理論がどの程度うまく働いているかを検証している。この結果も近く論文にまとめる予定である。
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