研究概要 |
本年度は、以下に示す結果が得られた。 1, 脱水素縮合触媒の合成と反応条件の検討 まず、種々の触媒の合成を行い、最も標準的なフェニルシランを用いて、反応条件の最適化を行った。ジメチルジルコノセンを用いた場合に再現性の良い結果が得られることがわかった。 2, モノマーユニットの前駆体の合成とその縮合反応 3次元的ケイ素高分子を合成するために、そのモノマーユニットとして、窒素原子で連結したフェニルシランを合成することを目指した。この窒素原子で連結したフェニルシランのモデルとして、まず、アミノ基置換フェニルシランの合成とその重合を検討した。しかし、アミノ基置換のフェニルシランでは、2量体やオリゴマーのみでポリマーは生成してこなかった。この原因の1つは、通常反応は無溶媒で行われるが、アミノ置換フェニルシランは固体であるために、溶媒を用いて希釈条件にしなければいけないためと考えられる。他の原因としては、アミノ基による電子的効果が挙げられる。これまでに重合に対する置換基の電子的効果等は調べられていない。そこで次に、置換フェニルシランとポリマー重合度との関係を検討した。 3,ポリマー重合度に対する置換基効果 種々のフェニルシランを合成しその重合を系統的に検討した。その結果、アルキル基等電子供与基が置換したフェニルシランでは、無置換フェニルシランと同程度がそれ以下の分子量のポリマーしか生成しなかった。しかし、フルオロ基等の電子求引基が置換した場合には、かなり高分子量のポリマーが生成することを見いだした。このことは、反応機構に新たな知見を与えるものあり非常に興味深い。今後、これら官能性ポリシランの物性とその3次元的構造への拡張を検討する予定である。
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