本研究では、3つのポルフィリン環をトライアングルに結合させた三量体に関し、以下の5点について研究することを目的とした。 1.ポルフィリン三量体骨格の合成 2.金属錯体の電子状態および磁気的性質の検討 3.異核金属錯体の合成 4.混合原子価錯体の合成 5.ホストーゲスト包接挙動の確認 今年度は、1.の三量体骨格の合成は最終段階まで完了できず、二量体の研究に留まった。電子状態の研究では各種ジアザ化合物を架橋配位子(L)としてもつ平行平面型コバルトポルフィリン二量体((Co^<II>Por)_2L)系における電子状態、磁気的性質について酸化還元挙動の研究を行った。その結果、(Co^<II>Por)_2Lの一電子酸化生成物は1つのコバルトが三価になったCo^<II>Por-L-Co^<III>Porであることがわかった。また、銅ポルフィリン錯体の一電子酸化還元生成物では金属とポルフィリン環上のスピンが相互作用し三重項状態を形成しており、それらのゼロ磁場分裂定数が置換基で異なりスピン軌道相互作用の寄与に大きな差があることが明らかとなった。
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