フォトクロミックジアリールエテン色素を用いた光記憶性電界発光素子の実現に向けて、材料開発を行った。具体的には(1)安定なアモルファス状態を呈するジアリールエテン分子の合成(2)導電性高分子とジアリールエテンの交互共重合構造を有する高分子の合成を行った。(1)に関しては立体的にかさ高い置換基を導入することにより安定なアモルファス状態を示す新規ジアリールエテンBUPTFCPを得た。この分子は70度付近にガラス転移に由来する非熱のシフトを示し、室温で安定なガラス状態をしめし、しかも可逆的なフォトクロミズムを示した。興味深いことに光異性化を溶液状態で行ってからスピンコート法により作成した分子性ガラスにおいては、光異性化反応がより容易に進行することが見いだされた。これは予め光異性化を行うことにより、光異性化に適した構造がアモルファスガラス状態において実現していることを示している。一方、(2)に関しては導電性高分子骨格であるアルキルフルオレンとジアリールエテンの交互共重合高分子の合成に成功した。この高分子は分子量およそ8000程度で、やはり溶液、固体状態において良好なフォトクロミズム挙動を示した。さらに、その蛍光強度は光異性化に伴って可逆的に変化することが見いだされた。すなわちこれらの新規材料はそれぞれ光記憶性電荷輸送層、光記憶性発光層として機能するものと考えられる。また、これらの材料に対して、金属電極を蒸着法により取り付けることに成功した。
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