研究概要 |
本研究では気孔孔辺細胞の青色光情報伝達に関わるプロテインホスファターゼの機能解析を目的として研究を行い、以下のような結果を得た。まず、既知の真核生物タイプ1プロテインホスファターゼ(PP1)触媒サブユニットにおいて高度に保存されている領域からPCRプライマーを設計し、PCRを行った。その結果、ソラマメ孔辺細胞では少なくとも4種類のPP1触媒サブユニットが発現していた。そのうち、発現レベルの比較的高いGCPP1-1の全長のcDNA単離を行い、1,497bpのcDNAを単離した。GCPP1-1がコードする蛋白質は、植物の既知のPP1触媒サブユニットとアミノ酸レベルで80-90%の同一性が見られた。RT-PCR解析により、GCPP1-1は孔辺細胞のみならず根、葉、葉肉細胞においても発現していることが明らかとなった。さらに、GCPP1-1を大腸菌の発現ベクターpGEX-2Tに挿入し、グルタチオンSトランスフェラーゼとの融合蛋白質として発現後GCPP1-1を精製し生化学的性質の解析を行った。リン酸化ホスホリラーゼaを基質として脱リン酸化活性を測定したところ、GCPP1-1は高いプロテインホスファターゼ活性を持ち、その活性はPP1の阻害剤であるinhibitor-2(IC_<50>=100nM)、オカダ酸(IC_<50>=80nM)やカリクリンA(IC_<50>=2.5nM)によって阻害され、典型的なPP1触媒サブユニット活性を持つことが明らかとなった。今後は、このGCPP1-1と相互作用を示す調節サブユニットのcDNAを単離するため、farWestem解析やtwo-hybid systemを行う予定である。
|